何度かおすすめの映画を書いてますが、子育て中のパパママは忙しいので、いちいちハズレの映画を観る時間がないですから、ここではストーリーも書いてしまいます。
内容を知った上で面白そうだと思えばぜひ観てください。
自分が面白いと思った映画だけ紹介していきます。
今回は「マンチェスター・バイ・ザ・シー」という映画です。
大切な存在をそれぞれ亡くしたチャンドラー家の人々が、その悲しみを乗り越えようとしていく物語です。
主人公のリーは寒い冬の夜、3人の子供達が眠る寝室のストーブに火を焚いたまま、コンビニに出かけてしまいます。
コンビニから帰ってきたら家が火に包まれていました。
「子供達が中にいるの!」と泣き叫ぶ妻
家は火を吹いていてとても中に入れる状況ではありません。
ストーブのシャッターをリーは閉め忘れていたのです。
3人の子供達は全員亡くなりました。
その日から、リーと妻のランディの心は壊れたままです。
あなたならどうしますか?
あなたがリーの立場なら?
あなたがランディの立場なら?
自分の夫を許せますか?
自分の妻と向き合うことができますか?
そして、何より自分自身を許せますか?
そして、子供達が亡くなって10年ほど経った頃に、リーの兄であるジョーが亡くなります。
ジョーは心臓の病気を抱えていて、長く生きることが元々難しい身体でした。
ジョーには高校生の息子(パトリック)がいました。
アル中だった母は母であることを辞め、今ではどこにいるのか誰にも分かりません。
かつて子供達を自らの過失で亡くしたリーは、父親を亡くしたパトリックの後見人となり、以前リー達家族が住んでいた街であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ります。
過去を乗り越えらないリーは誰にも心を開けないまま、子供達との思い出が詰まったこの街で、パトリックと一緒に冬を過ごします。
この街には再婚したランディも住んでいます。
ランディには生まれたばかりの赤ん坊がいます
かつてランディはリーを許すことができず、ひどい言葉を彼にぶつけました。
2人はお互いを傷つけ合い、そして離れていったのです
こんなひどい出来事が実際に自分に起こったら、きっと僕は耐えられないと思います。
何度も死のうと思うでしょうね。
愛する我が子を自分の手で殺してしまったようなものですから。
それでも人生は続いていきます。
誰の上にも等しく時間を降り注ぎ、前へ前へと嫌でも進まなければなりません。
自分の子供を亡くすような、そんな大きな出来事はめったに起こらないと思いますが、それでも生きていれば、誰にも辛い出来事が何度かやってきます。
それでも時間は刻々と過ぎていきます。
今というこの瞬間にとどまることができず、ましてや過去に戻ることもできず、何の抵抗もできず、前へ前へと進まなければなりません。
自分自身がその辛い出来事を乗り越えていけるかどうか、この映画はそのヒントの1つになるんじゃないかなと思います。
この映画は全ての問題が解決したハッピーエンドでは終わりません。
リーが自らのトラウマときちんと向き合い、それを乗り越えていこうとする、その兆しが見え始めた頃に終わります。
甥っ子のパトリックと一緒に彼の兄が残した船に乗って、2人で久しぶりに海に出た時、リーの顔にやっと笑顔が戻ります。
どんなに辛い出来事が起こっても、それにきちんと向き合うことができれば、ちょっとずつちょっとずつ、自分の人生を進めていくことができる。
この映画を観れば、そんな前へと進み続けることができる勇気をもらえると思います。
それと、人はみな不完全な生き物なんだなとも思います。
夫を許せないランディ、重い心臓の病気を抱えた夫を見捨て、お酒に溺れ、行方不明になってしまったパトリックの母もまた、自らのトラウマを抱えていきています。
特に子供を持つ父親にとってはとても心に残る映画になると思います。
いい意味でも悪い意味でも。
自分の子供を自分の手で殺すことになってしまった主人公に自分を照らし合わせて、彼の体験を追体験することによって、自分ならどうするんだろう、何を思うんだろう、乗り越えられるだろうか、など色々と思うことがきっとあるはずです。
それはとっても辛い追体験ですが。
だからこそ、今という一瞬を大事にしていこう。
子供と過ごすことのできる、このかけがいのない一緒を大切にしていこう。
今と言うこの時を生きていこう、と言う気持ちになると思います。
全ての母と父に観てもらいたい映画です。